事業実施の背景・事業の概要

 近年の社会構造の変化や個人のライフスタイルの多様化等により、既存の制度や分野にまたがり複合化・複雑化した課題や、制度の狭間にある課題も顕在化し、福祉ニーズは多様化を極めています。

 地域共生社会とは、このような制度・分野ごとの『たてわり』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を指しています。

 本市では、令和2年度に「第4期遠野市地域福祉計画」及び遠野市社会福祉協議会が策定する「第4期遠野市地域福祉活動計画」を一体的に策定し、行政や住民、地域福祉活動団体、ボランティア、福祉事業者など地域に関わるものの役割や協働を明確にし、様々な地域課題を解決する福祉基盤を構築し、地域共生社会に向けた取組みを進めることとしていることから、令和3年度からこの事業の実施に手をあげ、「重層的支援体制整備事業」に取り組んでいます。

 

重層的支援体制整備事業の概要

 重層的支援体制整備事業は、これまでの介護、障害、子ども、生活困窮の相談支援等の取り組みを活かしつつ、現在の分野別の支援では対応できないような地域住民の複雑・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するため、(1) 相談支援(属性を問わない相談支援)、(2) 参加支援、(3) 地域づくりに向けた支援を一体的に実施するものです。

厚生労働省資料より

【厚生労働省資料より抜粋】

 

 相談支援事業(属性を問わない相談支援)

 地域で暮らす方々を、相談者の属性や世代、相談内容に関わらず、相談を受け止め、本人に寄り添い、抱える課題の解きほぐしや整理を行います。

遠野健康福祉の里では、地域包括支援センター、障がい者相談支援事業所、生活困窮者自立支援相談窓口、子育て世代包括支援センターが同じフロアにあり、一体的な相談窓口としての環境が整備されています。

また、地域での相談は丸ごと相談員が地区センター等を拠点に活動しています。個人や地域の困りごとなど何でも丸ごとお伺いし、住民組織や関係団体と連携して地域生活課題の解消に向けた支援を行っています。

 

■包括的相談支援体制図

包括的相談支援体制図

 また、それぞれの相談窓口が受け止めた相談のうち、複雑化・複合化した課題を抱えており、相談窓口のみで解決が難しい場合において、課題の全体像を俯瞰したうえで、どのように支援をしていくかを関係者とともに確認し、役割分担を整理する「多機関協働事業」を行います。

 

 主な実施内容

 ・地域包括支援センターの運営

 ・障がい者相談支援事業所の運営

 ・利用者支援事業(子育て世代包括支援センターの運営)

 ・自立生活相談窓口の運営

 

 参加支援

 既存の各制度における社会参加に向けた支援ではつながることができない、さまざまな理由を抱えている本人や世帯に個別に対応する、社会とのつながりづくりに向けた支援を行うものです。本人やその世帯に対して地域の社会資源や支援メニューとのコーディネートをし、マッチングを行います。

 また、マッチングした後に本人の状態や希望に沿った支援が実施できているかフォローアップ等を行い、本人やその世帯と社会とのつながりづくりに向けた支援を行うよう努めます。

 さらに、新たに社会資源に働きかけ、既存の社会資源の拡充を図り、本人や世帯のニーズや状態にあったメニューの創出を支援します。

 

 主な実施内容
 丸ごと相談員による関わり

 この事業の対象は、地域や社会とのつながりを持つことで、個々のニーズに対応していくものですので、時には新たな資源開発に広がることも考えられます。丸ごと相談員が日ごろから地域住民や各種団体とつながりをもちながら、丸ごと相談員がコーディネート役となって対応していきます。

 

 市民サロン「ちょボラ」

 遠野市社会福祉協議会が実施主体となり、中心市街地の空き店舗を活かし、特に市民だれもが気軽に利用できる各種コーナーを設置し、子どもから障がい者、高齢者を問わず、だれもが活用できる居場所となっています。

また、市内福祉団体の事務局拠点として、団体の活動を支援するほか、地域活動支援センターの機能を併設することで、障がい者の自立支援を促しています。

 主な取り組み

 ・ちょボラ福祉団体運営会議の開催

 ・若者フリースペースの開催

 ・コミュニティ食堂の開催

 ・相談支援における関係機関との連携

 

 地域づくりに向けた支援

 地域づくりに向けた支援は、既存の地域づくり関係の事業の取組を活かしつつ、多様な地域活動が生まれやすい環境整備を行うことを目的としたものです。

 丸ごと相談員が中心となり、地域の社会資源を幅広くアセスメントしたうえで、地域団体が主体となって、世代や属性を超えて住民同士が交流できる多様な場や居場所の整備などの取り組みを支援するほか、地域で行われている個別の活動や団体を把握し、地域の中で「人と人」「人と居場所」などをつなぎ合わせるコーディネートを行います。

 

 主な実施内容

 ・住民主体の通いの場開催支援

 ・生活支援コーディネーターの設置

 ・地域活動支援センターの運営費補助

 ・子育て支援センターまなざし・こども本の森遠野の運営費

 ・地域交流サロン「ちょボラ」の運営費補助

 

重層的支援体制整備事業実施計画

 この計画は、本市において重層的支援体制整備事業を実施するにあたり、具体的な支援体制に関する事項について、社会福祉法第106条の5の規定により定めたものです。

 遠野市重層的支援体制整備事業実施計画.pdf [ 4993 KB pdfファイル](新しいページが開きます)

 

関連リンク

 地域共生社会のポータルサイト(厚生労働省)※新しいページが開きます